アメリカの緊急利下げ実施が示唆するもの

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2020年3月3日午前(現地時間)、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は緊急の追加利下げに踏み切った。追加の利下げを全会一致。一体この利下げが示唆するものは何なのだろうか。見ていこう。

緊急利下げの概要

新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から世界中で株価の急落などが続く中、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は緊急の追加利下げに踏み切った。G7(主要7か国)で打ち出した協調姿勢を受け、追加の利下げを全会一致。

また、利下げ幅は0.5%と通常の0.25%よりも大きく、政策金利は1%から1.25%の範囲になる。臨時の会合を開いて利下げを決めるのはリーマンショック直後の2008年10月以来となる。

しかし、午前中に利下げを発表したにも関わらず、その日の米国株式市場はさらに下落。かえって市場懸念を助長したともいえる。

利下げに至った経緯

実は2019年11月から12月にかけてFRBは当面の間、利下げを据え置くことを示唆しています。米中貿易をめぐり市場が荒れたことで、2019年のうちに早いペースで利下げを行いましたが、さらなる利下げに歯止めをかけた形でした。

しかし市場の反応はことなりました。米国金利先物から予測される金利水準は、「近いうちの利下げを織り込み」の状態であり、継続的な利下げが必要という反応でした。

それが2019年末から新型コロナウイルスによる市場の荒れ方には抗えませんでした。例えば日本の日経平均は1週間で約2,240円低下と10%低下に近く勢いだ。米国でもNYダウが3,583ドルで下落率は約12%。いずれもリーマンショックの下落に迫る勢いだ。

市場の反応

利下げ後の各国市場も冴えない。3月4日、日本では日経平均こそわずかに前日より高かったが、ほぼ変わらない。米国市場はさらなる急降下を見せている。

新型コロナウイルスの流行を見逃さないことはもちろん、経済への影響も注視していきたいところだ。

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