現代ではどの業界でも転職が普通となってきている。30歳を過ぎてから転職を考える人も多いが、人生の分岐点となる30代のキャリアはとても重要だ。30歳以降の転職は20代の転職と異なるという点をよく理解しておいてほしい。ここでは30代から転職を成功させるコツを見ていこう。
転職の目的
30代といえば、人生の分岐点となる重要な年代だ。プライベートでいえば、結婚するのは40歳までに済ませ、子供を持つようになるのも30代がもっとも多い。
社会人としてのキャリアでいえば、大卒なら23歳から65歳まで勤めるとして全部で約42年ある。そのうち、もっとも仕事に脂がのるのが30歳から50歳と言われている。仮に30代半ばで転職したとすると、もっとも仕事に脂がのる年代だ。
そのような年代で転職するには労力はもちろん、その後の人生にも大きな影響する。そのため、転職の目的をかなり明確化し、場合によっては犠牲にするものもあるかもしれない。人によって転職の目的は異なるから、よく自分自身を見つめ直してほしい。
企業が30代に求めるもの
企業が30代に求める点は2つある。
1つ目はこれまでの社会人としての経験、言い換えれば実績である。20代と異なり「伸びしろ」や「やる気」だけでは転職は通じない。前の実績でどのような実績をあげたのか、どのように関わり成功させたのかといいうリアルな体験が求められる。逆にそのような経験がないと転職活動は苦戦するだろう。
2つ目は新しい会社への順応性だ。もちろん仕事のスタイルややり方はそれまで培ってきたやり方があるだろうが、ときには新しい組織のやり方を取り入れることも必要である。定年の65歳まででいえば、30代はまだまだ新しいものを取り入れ成長する年代だ。
転職の作法
30代にもなれば、社会人としての自分のやり方を身につけているかと思う。しかし、転職先で過度にそのやり方にこだわることは危険だ。
組織の意思決定や周囲への仕事の依頼など、組織にはそれぞれの文化がある。最初は煩わしいと感じることも多いだろう。しかし、いきなり入ってきた人がそのような文化を踏み荒らすのは、周囲からの反感を持たれかねない。組織にやっと馴染んできた20代や、長く勤めている40代、50代の上司にはその組織の考え方が根底にあるからだ。
はじめのうちは周囲の仕事のスタイルや意思決定など、「お作法」をよく観察しておくことが重要だ。もし自分のやり方が効率的だと思ったならば、少しずつそのやり方を周囲に浸透させていきたい。自分に決定権がないうちは、周囲の協力を得られるよう関係を築いていくことが重要だ。
自己研鑽
まだまだ若かった20代と比べると、30代は自己研鑽がおろそかになりがちだ。プライベートでもイベントが盛り沢山だろうから、プライベートを充実させようとすると、自己研鑽が後回しになってしまうのも無理はない。
そのため、最も差が出るのも30代の学びだ。これからの人生や仕事に活かせる知識、スキル、そのようなものを身につけられるのは30歳から40代前半くらいまでではないだろうか。
MBAの取得、英会話の習得、人間関係の充実など、自己研鑽と言っても様々だ。
仕事のスタイルの追求
転職先の組織への順応と真逆なことをいうと、自らの仕事のやり方を追求することが重要だ。自分の仕事のスタイルの基礎は30代のうちに身につくものだ。
40代後半から定年近くまで仕事があるかは、自らの仕事のスタイルの基礎を作れるかにより左右される。プレイヤーとしての役割だけでなく、マネジャーとして果たすべき役割や観点を身につけておきたい。
専門以外の差別化
20代はがむしゃらに仕事を進めて、その道を極めるというのが若い間の仕事のやり方だ。言い換えれば専門性を追求するのが若い層のスキルである。
30代になると、1つは専門性を持つことはもちろん、違う分野の専門的な経験や、幅広いビジネスマンとしての基礎を身につけておきたい。
よく言われる「T字型の人材」や「π字型の人材」を目指すということだ。もちろんビジネスマンとしての基礎には個人のスキルだけでなく人脈面もあるだろう。